私たち夫婦は母の喫茶店のすぐ近くのマンションで暮らすことになった。
すぐに子供が授かった。
悪阻もけっこうひどかったけど何せ喫茶店は朝が早い。
それに合わせて早起きし朝食の準備。
主人を送り出して家事。買い物、夕食の仕度等々。ごく一般的な主婦業だ。
ところが彼は違ってた。
二時間ほどの昼寝付き。母は客のいない間に昼食を取るだけの休憩しかないのに。
でもそれは母が婿養子にきてくれたことで、最初に彼を奉りすぎた結果だろうと思う。
彼は読書が好きで頭も良く色々な知識を語った。私が知らないことばかりなので感心して聞いていた。
私にはとても優しかった。
しかし所詮社会に一度も出たことのないボンボンだった。
自分が興味あることにはのめり込むけど他は無関心。
子供みたいな人だった。
いよいよ子供が生まれた。女の子。
何よりも大事な宝物が私にできた。
この子が生まれたときには何事も惰性で生きてきた私が親になれたんだと感動した。
私は母のようにはならない。
ずっとこの子を守る!